今までの私自身では見たことも感じたこともなかった関係。
先を生きる人の中に、普通に仲が良く、手を取り合って生きてきた老夫婦があり、そこに今にもともしびが消えそうな命があって、過酷な現実となっている。
来たるべき現実を受け入れる準備も本当はあるのかもしれないけれど、今は神のみぞ知る、それが現時点のようにも思える。
庭にあるニシキギは、青々とした新芽や新緑の季節から赤い実を付けて紅葉する様まで一年間楽しませ、落葉するのだけれど、なぜか、二枚だけ、寄り添っている葉が目について。
傷付いて虫にも喰われているのだけれど、それでもそっと寄り添い合っている様が愛しさを表しているようで。
来たる現実、より厳しいものなのか何なのかはわからないけれど、慈しみ合っている心の部分がそっと大切に尊く残るように祈ってしまう。
そっと優しい風が吹いて、そっと空に消えていく二つの魂であるように。
どこかで繋がっているように。
老いてもなお、朽ちてもなお、そばにいることが尊いことであるように祈りたくなる。
現実に少しだけ目を伏せて。
