世界一のツル飛来地 出水平野
鹿児島県の北西部にある出水平野。
そこは世界に誇るツルの越冬地であり、ツル・渡来地共に国の特別天然記念物に指定されています。
出水でツルの渡来数が増え始めたのは、薩摩藩が海岸の大規模な干拓を始めた17世紀後半頃からだとのこと。
干拓地周辺が湿地帯でエサとなる雑草や虫が多いなど、ツルが好む環境だったことに加え、江戸幕府が長寿の象徴であるツルを縁起が良い鳥として保護を呼びかけ、薩摩藩もそれに倣って狩猟を禁じたため、ますます数が増えたという見方もあるようです。
元々は全国各地で越冬していたツル。 しかし自然環境の変化でほとんどの場所から姿を消し、生体数も減少してきています。
薩摩藩時代から保護活動を行ってきた出水では、現代ではツルの渡来期間中のみ一部の田んぼを保護地区として借り上げ、ねぐらを整えたり、農作物への食害対策としてエサを与えたりして保護活動を継続しています。
そんなことも何も分かっていなかった幼少期以来に今回訪れてみました。

夜がようやく明け始めたころ、すでに寝床である水の張った水田では鳴き声が響まわりいていました。
少し加工し辺りが見えるようにすると・・・

相当な数のツルがここで夜明けを待っています。
このような寝床は他にもいくつかあります。
夜が明けてくると・・・

家族単位でエサ場へと羽ばたいていきます。
徐々にエサ場にみんなが集まり、しばらくするとエサ場は・・・


大混雑!(笑)
でも喧嘩をせず平和に食べていました。
ツル以外のカラスや鴨たちに食べられても特に威嚇したりする姿もなかったです。

ツルは雑食なので、なんでも食べます。(麦、もみ、ミミズ、虫や小魚など。刈り取った稲の切り株から新たに芽吹いた二番穂など)
ここでは農作物被害軽減目的で毎朝小麦を主に撒いているそうです。
ツルが北へ帰る直前には約8トンのイワシが与えられるそうです。
おなかが満たされると、

各々が家族単位で好きなところに飛んでいきます。
飛んでいかず、エサ場近くにとどまる家庭もあります(笑)
お気に入りの場所に到達すると・・・

羽繕いをしたり・・・

求愛ダンスをしたり・・・

エサ取り教育を家族単位で行ったり・・・と過ごし方は様々です。
そして、日中場所を変えたりしながら過ごし、夕暮れ時に寝床に戻っていきます。
(今回は午後の撮影をしていないので、次回はぜひとも!!)
寒空の下じーっと観察していたら、いろんなシーンが撮れました(*^_^*)

マナヅル親子の飛翔

カナダヅルカップルの飛翔

天高く舞うナベヅル

ナベヅルのV字飛翔

ナベヅルの見事なフォーメーション!
飛び姿はただただ圧巻です。


ツルの夫婦はどちらかが何かの理由で欠けるまで生涯共に暮らす本当に仲良し夫婦です。
カップルが。親子が。 本当に仲良し(*^_^*)
でも・・・

ちょっかいを出してくるサギには容赦なかったです(笑)

撮影日現在でこの数。 まだまだやってきていて観測史上最多となる予想なんだそうです。

2月上旬から3月下旬にかけての晴天の日に北へと飛び去っていくその日まで、渡来したツル全てが病気や怪我に襲われることなくこの地でゆっくりと羽を休めることができ、そしてまた翌年。翌々年と安心して飛来できる環境を保持し続けることができましように・・・。
そう思いながら家路につきました。
そして・・・

また会いにくるね☆